この記事は、SaaS業界について解説する記事です。
SaaS業界とは?
SaaSという言葉やSaaS企業について知らない方向けに、概要を説明します。
そもそもSaaSとは?
SaaSという言葉は、Software as a Serviceの頭文字4つをとって作られた言葉です。サース、またはサーズと読みます。
SaaS(Software as a Service)は、インターネットを通じて提供されるソフトウェアサービスの一形態です。従来のソフトウェアが物理的なメディア(例えばCD-ROM)によって配布され、ユーザーのコンピュータに直接インストールされるのに対し、SaaSはインターネット上でブラウザやアプリを通じて、ユーザーに提供されます。
身近な例として、Microsoftが提供するExcel・Word・PowerPointや、Googleが提供するGoogleドキュメント・スプレッドシートもSaaSの一種です。
このように、インターネット上でサービスにアクセスやログイン、サービスの利用ができるよう提供されるソフトウェアをSaaSと呼んでいます。
代表的なSaaS企業とは?
海外ではSalesforce(セールスフォース)社がSaaSというビジネスモデルや、後述するSaaS特有の営業体制を構築したことで有名です。
日本国内ではfreee株式会社(中小企業向けのクラウド会計ソフトウェア)やSansan株式会社(名刺管理サービス)、マネーフォワード株式会社(財務管理サービス「Money ForWard」の提供)、チャットワーク株式会社(ビジネスチャットツール「Chatwork」の提供)などが代表的なSaaS企業です。
なお、少し細かな話をすると、法人向けサービスを提供するSaaS企業は「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2種類に分類することができます。
ホリゾンタルSaaS
ホリゾンタルとは「水平」という意味で、業種を問わず幅広い業界に適用可能なSaaSを提供する企業・サービスのことをホリゾンタルSaaSと区分します。
先ほど例に挙げたMicrosoft365(Excelなど)やGoogle Workspace(スプレッドシートなど)、Salesforce(CRM)、slack(コミュニケーションツール)、その他バックオフィス(人事労務経理など)などの業務改善や生産性向上のためのサービスとして提供します。
こちらでより詳しく書いてます(随時追記予定)
バーティカルSaaS
バーティカルとは「垂直」という意味で、特定の業界やセクターに特化したSaaSを提供する企業・サービスのことをバーティカルSaaSと区分します。
こちらは業界特化のSaaSなので、例えば製造業界、建設業界、医療業界、不動産業界、、、と業界特有の問題に対するソリューションとしてSaaSを提供します。
なお、筆者はバーティカルSaaSの経験が最も長いです。これまで不動産業界向けSaaS、医療業界向けSaaSを提供するSaaS企業にて、営業職として働いてきました。
バーティカルSaaSは業界に特化する分、顧客課題の解像度を高めたり、顧客課題の深掘りをする必要があり、またそれを自社サービス・プロダクトに反映させていく部分に、筆者自身はやりがいを感じています。
こちらも、以下の記事で詳しく書いています(随時追記予定)。
SaaSの特徴
続いて、SaaSの特徴について様々な視点から紹介します。
サービスの特徴
まずはSaaSサービスを使う側のユーザー視点の特徴についてです。
ネット経由でどこからでもアクセスが可能
クラウドという技術を用いることによって、ネット環境下であればいつでもどこでもアクセスができるようになりました。これにより、リモートワークやモバイルワークが容易になりました。
いつでも始めて辞められるサブスクモデル
かつてはCD-ROMなどの買い切りソフトを購入することでソフトウェアを使用していましたが、ネット経由でサービス利用できるようになったため、ユーザーは非有ように応じて月額や年額の料金を支払いサービスを利用できるようになりました。
これによりユーザーは最小のコストでサービスをお試し利用できるようになりました。
ビジネスモデルの特徴
続いて、SaaS企業側の視点の特徴についてです。
サブスクベースの収益モデル
SaaSは通常、定期的な支払い(月額や年額)に基づくサブスクリプションモデルを採用しています。これにより企業は収益の見込みを立てやすくなります。
一方で、これまでの買い切り(売り切り)モデルと比較して売上単価は低くなります。そのため受注単価よりLTV(ライフタイムバリュー)という指標が重要視されます。顧客との中長期の関係構築がSaaS企業にとって鍵となります。
安価にサービス提供できるようになった
先述したクラウドという技術によって安価にサービスを提供できるようになりました。これによりリーチできる対象顧客が増え、ビジネスをよりスケールすることが可能になりました。
長期的な成長を目指した資金調達
多くのSaaS企業は、特に初期段階でプロダクト開発や市場への人材採用など、急速な成長を支えるために外部資金が必要になります。銀行やVC(ベンチャーキャピタル)から、企業の成長に必要な資金を調達し、キャッシュアウトするまでに次の資金調達、もしくは事業利益を作り出すイメージで事業運営を行っています。
営業体制の特徴
ホリゾンタルSaaS、バーティカルSaaSなどによって異なるものの、SaaSではThe Model(ザモデル)と呼ばれる営業体制を組成しているケースが多いです。そして、以下の4つの役割分担、ポジションを用意しているケースが多いです。
マーケティング
役割:ブランドの認知度を高め、リード(顧客リスト)を獲得すること。その獲得したリードはインサイドセールス部隊へとパスします。
インサイドセールス
役割:電話やメール、WEB会議(無料相談会)などを通じて、潜在顧客にアプローチし、製品やサービスのアポイントを獲得することがゴールです。その獲得したアポイントはフィールドセールスへパスをします。
フィールドセールス
役割:訪問やWEB会議によって、製品やサービスの提案〜クロージングまでを行い、契約を獲得することが主なゴールです。受注獲得後は、カスタマーサクセスへ顧客を引き継ぎます。
カスタマーサクセス
役割:顧客が製品を最大限に活用し、導入目的の達成や、さらなる事業成長(サクセス)に繋がるよう支援することが主なゴールです。最も重要な指標は「LTV」や「サービス解約率」の2つです。
まとめ
簡単ではありますが、SaaSの定義や代表的なSaaS企業、SaaS企業での働き方などをご紹介しました。